【2023年版調査・パーパス】上場企業の社員の約7割が「パーパスに沿って行動」

社会における企業の存在意義を表すパーパス。急速な外部環境の変化にさらされている企業、そしてそこで働く社員のよりどころになる指針として、現在多くの企業がパーパス経営に取り組みはじめている。

一方で、パーパスはあまりにも至る所でその重要性が語られることから、バズワードのようにもなってしまっている。実際のところ企業ではどれほどパーパスが浸透し、実務に落とし込まれているのか。

上場企業の一般社員と中間管理職(部長、課長)それぞれを対象に調査を実施した。本記事では調査結果のなかから注目すべき質問をピックアップし、パーパス経営の現状とこれからの課題について考察する。

 


評価制度とパーパスの連携に関する実態調査

調査名:Unipos パーパス経営に関する調査2023
調査期間:2023年8月9日〜同年8月17日
調査対象:上場企業に勤める22~35歳の一般社員、および上場企業に勤めており部下の評価制度に関わっている35~65歳の中間管理職(部長・課長)
有効回答数:上記のうち、「自社はパーパスを掲げている」と回答した一般社員109名、中間管理職(部長・課長)110名、合計219名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査機関(調査委託先):株式会社IDEATECH

≪ご利用条件≫
1.情報の出典元として「Unipos」の名称の明記をお願いいたします。
2.ウェブサイトで使用する場合は、出典元として下記リンクの設置をお願いいたします。
URL:https://unipos.me/ja/


 

 

上場企業で進むパーパス経営、社員個人の働く意義には課題?

まず各社のパーパス経営への取り組み状況について明らかにしていく。

「Q1.現場から見て、あなたのお勤め先では、パーパス経営のための取り組みが十分に行えていますか」という質問では一般社員と中間管理職に大きな差は見られず、いずれも約8割が「十分に行えている」と回答した。

少なくない企業で自社のパーパス経営への取り組みが実施されていることがわかった。しかし一方で、パーパスが単なるお題目になってしまっていないか、実際に社内で浸透しているのかについてはまだ疑問が残る。

そこでいくつかパーパスの浸透度に関する質問も行った。

「Q2.お勤め先の企業では、パーパスに沿った行動ができている社員は多いと思いますか」という質問に、一般社員の約7割、部下の評価制度に関わっている中間管理職の約7割強が、肯定的な回答をした。

パーパスに沿った行動ができていると感じる理由として、最も多かった回答が「社員の自律性が高い」。一般社員・管理職ともに約7割が回答している。

その一方でパーパスに沿った行動ができていないと判断した理由として「社員の自律性が低い」と回答した割合には、一般社員と管理職で差が現れた。管理職が約5割であるのに対して、一般社員は約2割強。管理職が「自律性が低い」と感じているときでも、一般社員はそう感じていないケースが少なからずあるのだろう。

低い割合となったのは「社員一人一人が働く意義を見出している(いない)」の質問。パーパスの重要性を認識して行動はしているが、それが個人のモチベーションにつながるまでは至っていないということなのかもしれない。
パーパス浸透度の結果をまとめると、一般社員・管理職ともにパーパスが社員の行動まで落とし込まれていると感じており、その理由と考えている部分も一般社員と管理職で大きな差は見られなかった。

今回の調査結果だけから判断するのであれば、上場企業のパーパス経営は順調に進んでいると言えるだろう。

パーパス浸透に必要なのは「上司が実践すること」

順調に進んでいるように感じられる上場企業のパーパス浸透。各社はどのような取り組みを実施しているのだろうか。

部下の評価制度に関わっている管理職のうち、Q2で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q5.パーパスに沿った行動ができる社員を増やす上で、行っている施策」を質問した。

その結果、回答が多かった順番に
「経営者・役員や管理職から現場に対してパーパスに基づいた行動の徹底を心がける(61.4%)」
「社内報などで、パーパスに関する説明をする(59.0%)」
「新人研修や中途社員のオンボーディングでパーパスを学ぶ機会を作る(54.2%)」
という回答となった。

上司と呼ばれる人たちが自ら実践して、足りない情報や知識を社内報やオンボーディングなどのツールを活用した機会で補っていくことが、パーパス浸透には重要なのだろう。

また、パーパス浸透に関する施策では以下のようなフリー回答も見られた。
「ことあるごとにパーパスについて話す(42歳)」
「1o1を通した全社パーパスの繰り返しの浸透(59歳)」
「自律組織のための社員モティベーション企画(63歳)」

「パーパスに沿った評価制度は構築できている」が、成果・報酬との連動が課題?

持続的に社員の行動を導いていくためには、適切な評価・処遇を欠かすことはできない。パーパスに沿った行動をする社員たちを適切に評価する仕組みはあるのだろうか。

「Q6.お勤め先の企業では、パーパスに沿った評価制度を構築できていると思いますか」という質問では一般社員と管理職のいずれも過半数が肯定的な回答となった。

パーパスに沿った評価制度が構築できているとした理由には、「パーパスを体言する具体的な行動評価の基準がある」が一般社員と管理職の両方で6割を越える高い割合となった。
一方で行動評価から「パーパスを体現する具体的な成果評価の基準がある」になると管理職が50.0%で一般社員が34.5%と、割合が低くなった。

さらに「パーパスの達成と報酬体系が連動できている」の回答は一般社員・管理職ともに約4割程度となる。
パーパスに沿った行動評価の先に、成果評価、報酬ともう一段階乗り越えるべき壁があることがわかる。

また、「パーパスを体現する部署・チームの目標が設定できている」「パーパスをリーダー層が理解し、適切に部下を評価できている」「パーパスをリーダー層が理解し、上司によって指示や方針が同じになっている」はいずれも一般社員と管理職で回答に大きな差がでている。

実務の現場では、管理職がパーパスに沿ったマネジメントをできていると感じているのに対して一般社員はそう感じていないというケースが多いことが推察できる。
「制度は問題ない、ただし直属の上司が……」と考えている層が少なくないのかもしれない。

管理職のうち、Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q8.パーパスに沿った評価制度を構築する上で、重要だと思うことを教えてください」と質問したところ、
「求める人物像の明確化(53.9%)」
「仕組み化による評価の質と公平性の担保(52.6%)」
「パーパスを表す具体的な行動や結果を定義する(50.0%)」
という回答になった。

上記3つを踏まえて評価制度をブラッシュアップしていくこと。そしてそれを現場の管理職を含めてどのようにマネジメントできるかが、今後の課題になっていくだろう。

パーパスは人的資本経営の出発点

上場企業の社員を対象にした今回の調査では、パーパス経営への取り組み、社員への浸透、評価への落とし込み、いずれに対しても比較的肯定的な回答が得られた。

今回の調査結果のみから判断するならば、日本企業のパーパス経営は着実に進んでいっているという印象を受ける。そのなかであえてこれからの課題を挙げるのであれば、評価の段階で、成果、報酬へとつなげていくことだろう。

パーパスは人的資本経営の出発点とも言われる。人材を育成し、さまざまな環境の変化のなかで自律して行動できる組織をつくりあげていくためには、彼らを評価する段階でより成果指標と報酬を明確化して、パーパスと紐づけることが理想だ。
企業の存在意義、社員の行動、そして評価、これらの良い循環が生まれることが、強い組織づくりの鍵となるだろう。

今回の調査は上場企業勤務の管理職・社員が対象だったため、会社規模が大きいからこそパーパスの設定やそれに基づく評価制度構築が可能だったということが結果に関係しているかもしれない。

一方で、日本の人的資本経営を更に前進させるためには、99%以上という大多数を占める非上場企業のパーパス経営を加速させることも併せて重要になるだろう。

※記載されている情報はインタビュー当時のものです。

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