VUCA時代に求められる組織づくりとは? 変化に強い組織を実現する4つのキーワード

連載「ものづくり白書2024」大解剖では、主に製造業が直面している人材課題、経営環境の変化が著しい現代のマネジメント課題を解説してきました。最終回となる本記事では、「変化に強い組織づくり」を実現するための4つのキーワードをご紹介します。

さまざまな経営環境の変化にさらされる現代において求められているのは、自ら変化をしながら、外部環境に適応しつづける柔軟な組織づくりです。そのために必要な要素をUnipos組織コンサルタントの岸川が解説します。

岸川 京太郎

2016年にUnipos株式会社の前身であるFringe81株式会社に新卒で入社。​広告代理事業の営業責任者を務めながら、新卒採用のインターンシッププログラムの企画・運営PJに参画。​

2021年の事業統合、Unipos株式会社への社名変更のタイミングでは全社のMVV策定のPJリーダーを務める。​2021年6月よりUniposの営業として、インサイドセールス部門長、エンタープライズセールス部門長を経て、​現在はビジネス本部 VPとして、エンタープライズ領域のフロント部門全体を管掌。​

組織の現在地を見直し、「環境に適応した組織設計」を

1つ目のキーワードは「環境に適応した組織設計」です。組織形態には階層別、職能別、事業別、カンパニー別など、様々なモデルが存在しています。理想的な組織形態は、それぞれの特性によって違います。

重要なのは、組織は一度採用した組織形態に固執せず、柔軟に変化していかなければならないということです。組織は特定の環境に適応すると分業化やルーティン化が進んでいきます。その反面、組織内で変化を拒否する心理が働き、役割や機能が固定化されてしまう恐れがあります。

VUCAといわれる現代において、事業環境は加速度的に変化しています。そんな中で、組織が環境の変化を拒むことは大きなリスクになるでしょう。そのため、採用している組織形態を定期的に見直していかなければなりません。

環境の変化に対応する柔軟な組織づくりのために重要なのは企業の現在地」「求める方向性」「時間軸」の観点から組織形態を設計することです一般的に、組織形態は組織の規模や事業戦略に合わせて設計しますが、それらに加えて上記3つの観点を取り入れることで、最適な組織形態の選択を行うことができるのです。

変化を恐れず、新しい価値観を取り入れる。「継続した挑戦行動」

2つ目のキーワードは「継続した挑戦行動」です。

組織の変革には気づく」「動く」「変わる」という3つのプロセスがあります。「気づく」は、現状の問題点を発見し、改善へと向かうステップ。それを実行する「動く」を継続することで、「変わる」に到達します。

この3ステップの間には、2つの阻害要因が存在しています。「気づく」と「動く」の間には失敗や変化を恐れるという心理が、「動く」と「変わる」の間には新たな価値観を拒否する心理が働きます。組織変革を実現するためには、この2つの阻害要因を乗り越える文化を定着させなければなりません。

イーロン・マスクが代表を務めるアメリカの航空宇宙メーカー、SpaceXは挑戦し続けることで成長した企業の好例でしょう。同社はロケットの打ち上げに何度も失敗しながら、そのフィードバックを開発に活かし、挑戦を続けてきました。年々ロケットの打ち上げ回数は増加しており、2024年現在、アメリカ国内におけるロケット打ち上げ回数の50%を占める企業へと成長しています。

組織の規模が拡大した現在もなお、挑戦する姿勢を維持していることが、同社の成長の源泉となっているのです。

 

時間とともに低下する「エンゲージメントの維持」

3つ目のキーワードは「エンゲージメントの維持」です。組織が成果を上げるためにエンゲージメントが重要であることは、中編「個人からチームへ。現代型マネージャーに求められる5つのコミュニケーション心得」でお伝えしました。

アメリカの調査会社Gallupが発表しているデータでは、エンゲージメントと業績の相関がより具体的に明らかにされています。

エンゲージメントスコア上位25%のチームでは収益性、生産性、EPS(株価収益率)、顧客満足度が向上。特にEPSにおいては47%アップという強い相関があります。

一方、下位25%のチームでは品質の欠陥、事故、離職率、欠勤において大幅な低下が見られました。上位25%のチームと比較すると、よりマイナス幅が大きく、業績に大きなインパクトを与えているのです。

では、エンゲージメントが高いチームはどのようにその状態をキープすることができるのでしょうか。「阿吽の呼吸」という言葉が表すように、一度相互理解が深まればコミュニケーションが安定し、一定の水準でエンゲージメントが維持できると考える方も少なくありません。

しかし、設立から3.5年以上経過したチームでは成果・コミュニケーション量が大幅に下落していくことがデータによって示されています(※)。特に製造業において重要とされる他部門とのコミュニケーションに関しては、より大きな低下が見られます。

※『リーダーシップ・シフト  全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ』(日本能率協会マネジメントセンター)

エンゲージメントを維持するためには、組織内の心理的安全性を確保し、常に情報のキャッチアップ、相互理解が行われる環境を整える必要があります。

心理的安全性が担保されたチームではコミュニケーションが活発化し、学習行動が増え、成果が向上することが同書で紹介されています。チームが構築された後も、エンゲージメントを維持するための取り組みが重要であることをご認識ください。

組織風土改革は「答えのない問いと向き合う」こと

企業が抱える課題は、明確な答えが存在する技術的課題、明確な答えが存在しない適応課題の2種類に分けられます。前者は技術や知識の習得、後者は価値観や関係性の変化によって解決策が見出せるもの。

VUCAと呼ばれる現代は、答えのない適応課題に溢れています。そこでご紹介したい4つ目のキーワードはそうした「答えのない問いと向き合い続けること」です。

適応課題と技術的課題を時間軸によってマッピングした上記の図をご覧ください。

「日々の関係衝突」のような短期で対処可能な適応課題に対し、組織風土変革は長期的に解決を目指す適応課題へ分類されます。「カルチャーレベルの向上」「継続した挑戦行動」など、組織内における継続したアクションが求められるからです。

こうした「答えのない問い」に対しては、進むべき道に方向づけを行い、時間をかけて根治を目指すことが重要です。技術的課題・適応課題の分類に加え、時間軸を意識していただくことで、適切な対処を導き出すことができます。また、答えのない問いに向き合い続けることで、徐々に組織に変化が生じ、その他の課題の解決にも貢献できるはずです。

以上、変化に強い組織づくりを実現する4つのキーワードをご紹介しました。VUCAの時代において求められているのは、固定化された組織形態や既存の価値観に固執することなく、柔軟に変化し続ける組織づくりです。これらのキーワードを意識しながら、組織変革、文化づくりに取り組んでいただければと思います。

※記載されている情報はインタビュー当時のものです。

この連載の記事一覧

UNITE powered by Uniposをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む