エンゲージメントサーベイ、形骸化していませんか? 真の組織課題を見極める方法論

「今年もエンゲージメントサーベイを実施したが、結果は昨年とほとんど変わらない……」 「サーベイをはじめ、さまざまな施策を講じているはずなのに、事業の成長が感じられない……」 

多くの企業は、終わりの見えないマラソンを走るかのように毎年サーベイを実施し、さまざまな施策を試みているにもかかわらず、イノベーションや事業成長に結びつかないという悩みを抱えています。 

数値上はわずかな増加が見られるものの、「本当に組織の課題は解決に向かっているのだろうか?」という疑念が拭えないという経営者・担当者は多いでしょう。 

今回は、この根深い問題の構造的な原因を探るとともに、本質的な解決策へと導くために考察します。 

Profile

高橋 洸也

Unipos株式会社 ビジネス本部 ソリューション事業部 事業部長 人的資本経営コンサルタント

課題を特定した「つもり」ではないか? 形骸化するサーベイと施策実行の罠 

多くの企業は、組織課題の特定や対策にあたり、共通する落とし穴に陥っています。 

たとえば、従業員サーベイを実施しても、全体の平均点だけに注目して安心してしまう「平均の罠」に陥りがちです。実際は、部署別や年代別という詳細な部分に、深刻な課題が潜んでいる可能性が高く、平均値のみを注目していると重大な点を見落とすことがあります。まるで、氷山の一角だけを見て「これが課題だ!」と決めつけてしまうかのような状況です。 

また、テクノロジーの進化により、かつてないほど大量のデータが収集可能となりましたが、その膨大な情報に圧倒され、本質的なインサイトを統合できない企業も少なくありません。まるで、さまざまな種類のパズルのピースを集めたものの、どのピースがどのパズルに属するのか分からず、全体像を組み立てられない状態に似ています。定量データと定性データが別々に管理され、統合的な分析が不十分な事例も目立ちます。 

さらに、サーベイの自由記述欄が、建設的な意見よりも「恨み節の大合唱」となり、単なるストレス解消の場に陥ってしまうことで、組織改善に必要な本質的な意見が埋もれてしまうこともあります。 

真の課題を見抜く3つのポイント 

サーベイや施策が本質的な解決に至らない背景には、いくつかの構造的要因が存在します。中でも特に重要なのは、以下の3点です。 

①課題認識のずれ
経営幹部、人事、現場などの関係者間で、組織課題に対する認識が一致していないケースが多々あります。抽象的で合意しやすい課題感が全社の重要課題として設定されると、真に解決すべき問題が見落とされがちです。 

②本音を引き出す仕組みの欠如
従来のサーベイ形式では、回答者が忖度したり無難な回答に流れたりする傾向があり、組織の深層に隠れた本音が十分に捉えられません。上司の顔色を窺って回答するアンケートでは、真の課題は浮かび上がりません。 

③構造的な要因を捉えられていない
さらに、多くの場合では、表面的な問題にとらわれ、奥深く潜む「構造的な要因」に目を向けないという根本的な問題に陥っています。 

例えば、サーベイで「コミュニケーション不足」が浮かび上がったとしても、それは表面的な現象にすぎません。その根底には、「上意下達の文化が根強く、現場の意見が十分に吸い上げられていない」という構造的課題が潜んでいる可能性が高いのです。表面的なコミュニケーション活性化施策だけでは、この根本原因に対処できず、真の解決には至りません。 

また、「挑戦が生まれない」という課題についても、その原因が「失敗を許容しない企業風土」なのか、「新しい挑戦の機会が提供されていない」のか、「挑戦意欲のある人材が適切に評価されない制度」なのかによって、講じるべき対策は大きく異なります。 

これは、毎年健康診断を受けながらも、体重や血圧といった表面的な数値だけに注目し、生活習慣病の根本原因である食生活や運動習慣など深層の問題に目を向けない状況に似ています。 

現行のサーベイで可視化される課題は、往々にして「コミュニケーション不足」や「心理的安全性の低さ」といった、表層的な現象にとどまっています。これらは重要な課題ではあるものの、その背後に潜む根本的な構造的組織課題が見落とされがちなため、実施される施策は表面的な対処療法に終始してしまいます。 

さらに、「都合の悪い情報」や「相反する意見」を無意識に避け、見て見ぬふりをすることも、構造的課題の早期発見を妨げる要因となります。組織にとって耳の痛い情報こそ、変革のヒントが潜んでいるのです。 

その結果、サーベイや施策に対して従業員が抱く「疲弊感」は、本社と現場の分断を加速させ、「言っても無駄」という諦めや不信感を生む恐れすらあります。 

サーベイを事業成長につなげる鍵――真のインサイトをいかに抽出するか 

本質的なインサイトを引き出すためには、従来のサーベイの在り方を見直し、深層に潜む課題に焦点を当てることが求められます。 

そのための有効な手段のひとつとして、Unipos社が提供する「組織インサイトサーベイ」が挙げられます。 このアンケートの特徴は下記の3点です。 

・アンケート対象を次世代の経営幹部候補に絞っている
・匿名制である
・記述式である 

これには、企業の将来を真剣に考え、現場の実情を熟知している層から本音を引き出す狙いがあります。 

匿名性を担保し、外部の第三者による調査を行うことで、「人事的報復」を恐れることなく、普段は表に出にくい本音や、経営層が認識していない構造的な課題が明らかになる可能性が高まります。 

また、記述式の設問設計により、定量データだけでは見えにくい「なぜ?」という問いに対する具体的な回答を引き出すことができです。 

さらに、膨大な記述データと過去のサーベイから得た定量的ファクトを基に課題認識と比較することで、見落としがちな構造的課題の兆候や共通認識を効率的に抽出できるようになるのです。 

課題特定に終始せず、具体的な施策を実行するためには 

たとえ真の組織課題を特定できたとしても、それだけで満足していては事業成長には結びつきません。重要なのは、その後に具体的な施策を実行することです。 

そのためには、まず関係者間で課題に対する共通認識(コンセンサス)の形成が不可欠です。 

たとえば、ワークショップなどを実施し、アンケート結果を共有することで、経営層や人事担当者、現場リーダーが共通認識を持つことができます。 

さらに、アンケート結果や課題に関する情報の透明性を高め、なぜその課題が重要なのか、どのような対策を検討しているのかを社員に丁寧に伝えることで、社員の納得感と当事者意識が向上します。 

会社の課題と対策をしっかり説明すれば「自分たちの声が確実に反映され、会社が変わっていく」という実感が生まれ、社員のエンゲージメントが高まる好循環が創出されていきます。 

また、課題特定に至るまでのプロセス自体を共有することにより、多様な意見がある中でどの基準で判断したのかが明確になり、社員の不信感の解消や、さらなる理解と協力が期待できます。 

次のプロセスでは、次世代の経営幹部候補など、社員の代表的存在から得られた本音のフィードバックをもとに、社員を巻き込んで具体的な行動を起こすことも不可欠です。 

眠れる「伸びしろ」を呼び覚まし、本質的な課題解決へ向かうご提案 

毎年繰り返されるサーベイと施策実行のサイクルを、適切な好循環へと変革し、真に事業成長につながる組織課題を解決するためには、表面的な現象にとらわれず、その奥深くにある構造的な要因に目を向ける勇気が求められます。 

Unipos社は、このプロセスに伴走するサービス「組織インサイトサーベイ」をご提供しています。本サービスでは、本文でご紹介した「匿名アンケート」のほか、「課題整理ワークショップ」「提言ミーティング」を通じて、組織開発や人的資本経営に専門性を持つコンサルタントが、事業成長という目的に根差した支援を行います。 

課題は「伸びしろ」です。次世代を担う層の本音を新たな情報源とし、透明性の高いコミュニケーションと迅速な実行を通じて、組織に眠る「本当の伸びしろ」を呼び覚ましましょう。 

 

 

※記載されている情報はインタビュー当時のものです。

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