年平均成長率57%の急成長ファームが実践する、個と会社の成長の方程式
2025.08.19
目次
売上高の年平均成長率は57%、アジア太平洋急成長企業ランキングではManagement Consulting部門で3年連続1位。めざましい成長を遂げるコンサルティングファーム、 Re-grit Partners (リグリットパートナーズ)が掲げるビジョンは「CxO firm」──“1000人のCxOを輩出する企業”だ。取締役の大木氏は、コンサルタントのコモディティ化が進む中「エッジの効いた人材」を育成したいと語る。その核心にあるのが、従業員一人ひとりの「キャリア安全性」を保証する仕組みと、“全員経営”のカルチャーだ。人と組織を共に進化させる、同社の思想と取り組み内容を伺った。
Profile

大木 聖也 氏
株式会社Re-grit Partners 取締役
コンサルのコモディティ化に挑む“エッジ人材”育成戦略
——御社は「CxO firm」というビジョンを掲げられていますが、それを掲げるに至ったご経験や思想についてお聞かせください。
大木氏: 一言で申し上げると「従業員の成長速度が速く、人材を輩出していける会社」を創りたいと考えています。理由は、業界・個人の二つの観点から説明できます。
コンサルティング業界は急成長し、売り手市場になってきています。言葉を選ばずに言えば、今やコンサルタントになろうと思えば誰でもなれてしまいます。その結果、コンサルタントという職種が急速に「コモディティ化」してきています。そのため、当社がコンサルティング業界でプレゼンスを高めるためには、「エッジの効いた人材」をより多く集め、育てていくことが重要だと考えています。加えて、当社で鍛えられたメンバーが、会社の枠を超えて事業会社への転職や独立し、大活躍することで、「日本の国力向上」にも貢献できると考えています。
個人という観点では、コンサルティング以外のビジネス経験を積むことによって、ただのコンサルタントではなく本当の意味でのビジネスパーソンとして、様々な業界・業種でビジネスをリードできる人材を輩出したい、そんな想いがあります。

——人材育成を、個人・会社・国の成長という様々な角度から戦略的に重要視されているのですね。その中で「キャリア安全性」というテーマに注力されていると伺いました。「キャリア安全性」とは何なのか、なぜそれが重要なのか教えてください。
大木氏: 弊社の経営が「個人が成長の機会や挑戦の機会を生み出し続けるための経営」であるとすれば、従業員目線で重要なのが「キャリア安全性」です。キャリア安全性が高い状態とは、従業員が「この会社にいることで自身のキャリアの展望は明るい」と感じられる状態を指します。
弊社が「人材を輩出する企業」というビジョンを掲げ、ビジネスをリードできるスキルを徹底的に身につけることを重視しているのは、コンサルタントという職種に限定されずビジネスパーソンとしての経験を多く積むことで、個人のキャリア安全性を確保するためです。会社は、そのための成長・挑戦の機会を提供する“箱”であると捉えています。従業員自身がそうした機会を最大限に活用し成長することで、キャリア安全性が担保されると考えています。
成長実感を作るためには、個人がチャレンジできる環境が必要です。そして、チャレンジしようと思えるには「心理的安全性」や「従業員エンゲージメント」が重要になってきます。スキルや経験を身につけることを重視するコンサルティングファームは多いですが、従業員エンゲージメントにフォーカスしている会社は多くありません。しかし、コンサルティングワークはチームで動くものですから、仕事をする上でも、エンゲージメントが重要です。
だからこそ、社員同士の繋がりをつくる仕組みが重要になります。弊社では「コラボレーション」という言葉をよく使いますが、これは様々な人と接点を持つことで、自分にない考え方やスキル・経験を得ることを意味します。コラボレーションは、コンサルティングのスキル向上だけでなく、ビジネスパーソンとしての幅を広げ、キャリア安全性を担保することに繋がります。

成長速度を速めるマインドセットと支援制度
——御社ではそうした考えのもとに体系的に制度を整えられていますが、特に成長速度が速い人材に特徴的な要素はありますか?
大木氏: 会社とは関係なく、完全に個人的な見解ですが、私は99%の人が「凡人」であると思っています。私自身もキラキラした経歴ではありません。世の中にいる社長も部長も、基本的には凡人のほうが多いでしょう。しかし、その凡人の中でも「すごいな」と思う人がいる。それは「マインドセット」が全てだと思っています。私が重視するマインドセットは大きく2つあります。
1つ目は、圧倒的な「当事者意識」を持っていること。目の前の仕事に対して、自分が最も真剣に取り組んでいるか、先を見越して準備をしているか。この圧倒的な当事者意識があるかどうかで、仕事の進め方や周囲を巻き込む力に雲泥の差が出ます。
2つ目は、明確な「キャリアに対する目標」があること。短期的でも中期的でも構いませんが、将来像から逆算した目標設定が明確で、かつ解像度が高いことが重要です。
なぜそれが重要かというと、コンサルタントはクライアントから高いフィーをいただいて仕事をする以上、常に「フィーに見合う価値」と「自分自身のスキル・経験」との間にギャップが生まれます。このギャップを埋めるため、クライアントや上司から厳しいフィードバックを受けることもしばしばです。コンサルタントの一番大変なところは、理不尽なことではなく、論理的に徹底的に詰められることだとも言われています。
そんな中でモチベーションが下がったとき、いかに早くレジリエンスを発揮し、立ち直れるか。そのカギになるのが、「何のために、その仕事をその会社で頑張っているのか」という大義名分や目標です。そうした目標が明確で解像度が高い人ほど、リカバリーも早く、成長が加速していきます。
この2つの要素を意識し続け、目の前の仕事に地道に取り組むことで、できることの幅が広がり、結果的にクライアントからの信頼を得ていく。この好循環が生まれると、いつの間にか人は成長しているのです。
私は、こうした積み重ねが10年後に「自ら選択肢を持ち、関わる人や仕事を選べる自由」につながると考えています。

——目標設定の解像度を高めることや、逆算して短期目標を設定することに関して、社内で支援するような制度はありますか?
大木氏: 代表的な仕組みとして「認定評価者制度」があります。これは、単なる人事評価にとどまらず、メンバーのキャリア目標やプロジェクトにおける達成目標を、上長以外の第三者とともに整理・言語化するプロセスを含んでおり、目標設定の解像度を高める仕掛けになっています。
——認定評価者はどのように認定されるのでしょうか?
大木氏: 弊社のコンサルティング部門には、アナリスト〜マネージングディレクター/プリンシパルまでの7階層があります。
認定評価者には、主にマネージングディレクターやプリンシパルがアサインされますが、必ずしも最上位職に限定しているわけではなく、マネージャークラスがシニアコンサルタントを評価するケースもあります。
コンサルタントはロジカルである一方、ピープルマネジメントやコーチングには不慣れなケースが多いです。論理的に正しくても、「どうすれば相手が前向きに内省し、行動に移せるか」という視点は別物です。特に若い世代の価値観の多様化が進む中で、こうした“コーチング的な支援”の重要性は今後さらに高まると考えています。クライアントとの関係性においても、正論だけでは人は動きません。だからこそ、伝え方や人を動かす力も、重要なビジネススキルだと考えています。
スキルを拡張する“全員経営”の制度化
——人材育成・能力開発の面では、どのような取り組みがありますか?
大木氏: 代表的な施策は「Consulting+1」という、社内副業に近い取り組みです。普段は別々のプロジェクトに従事しているコンサルタントが、営業・採用・広報など機能ごとにチームを組んで当社の運営に参画しています。
創業当初は片手で数えるほどの人員しかいなかったため、当たり前のように「全員経営」をしていました。皆で営業を行い、プロジェクトを回し、かつ人手が足りないのでリファラル採用も全員でスクラムを組んで運営する。この全社的な自律的貢献活動こそが、+1の原型です。3期目でメンバーが80名を超えたタイミングで、こうした動きを制度として明文化しました。
そして450名まで成長した現在も、なぜこれを続けているかというと、「コンサルタントという職種で得られる経験は、ビジネスパーソンとして必要なスキルの一部にすぎない」という代表・山木の思想があるからです。たとえば営業活動は、将来的にディレクターになると必ず求められる業務です。それを若いうちから経験しておくことで、営業で必要な視点や準備の重要性を実感として学ぶことができる。そういった「将来につながる越境経験」を、早期から意識的に積める仕掛けとして制度化されたのが、Consulting+1です。
制度設計で重視したポイントは、「ボランティアにしない」ということです。任意にしてしまうと、参加する人・しない人で差が出てしまいます。そこで現在は、+1活動の実績・貢献度を評価にも反映させています。取り組めば取り組んだ分だけ、自身の成長や評価に繋がる――そうした自然なインセンティブが働く構造にしています。
また、+1は「自己のタスクマネジメント力」を促進する制度でもあります。プロジェクトが多忙な状態では、当然+1の工数は確保できません。そこで、どうすれば自分の業務リソースを最適化できるか、誰に何を任せるかなどを自ら考え、調整する動きが自然と生まれてきます。
結果として、セルフマネジメントや巻き込み力の向上にもつながっています。

——そもそも多忙なコンサルタントのリソース分配に関する不安や反発はなかったのでしょうか?
大木氏: 正直、一部反発はありました。主にプロジェクト側のプロジェクトマネージャーからの反発が多かったですね。+1活動は、自分でやりたいことを選べるため、メンバーにとっては楽しいことも多いのです。しかし、良くないケースとして、本業のプロジェクトよりも+1 のワークを優先するメンバーが出てきてしまうことがありました。そのため、「この制度があると本業に力を入れないメンバーが増える」という意見が一部出ました。
この意見にも理解はできますが、+1を廃止したり、評価項目から外したりしたことは一度もありません。代表の強い思いがあるからです。コンサルティングプロジェクトの進行だけがビジネスパーソンのスキル全てではなく、+1 活動は確実にメンバーの能力開発――つまりCxO人材の育成につながります。また、プロジェクトは困難なことも多いですが、そんなときに、プロジェクト外で関わっている人との関係性の「線」が増えて強くなることが、個人のエンゲージメントを担保する要素になると考えています。
では、運用面でどう対応したかというと、まずメンバー自身が「どうやったらリソースを作れるか」を考えるよう促しました。自分で工数を減らす動きを意識させたのです。また、+1の意義をPMやマネージャーに改めて啓蒙しました。その上で、もし+1を優先しすぎているメンバーがいるなら、それは仕組みの問題ではなく個人の問題であるとして、プロジェクトを最優先するよう指導していく、という泥臭いマネジメントを一つ一つ行いました。
年平均成長率は57%。個と事業の成長スパイラル
——御社の活動は、個の成長と同時に、常に「社員同士の線」や「コラボレーション」を非常に意識されているのですね。これらの活動によって、どのような変化やインパクトが起きましたか?
大木氏: 組織と人材に関しては、「主体性」や「当事者意識」がより一層醸成されてきていると感じています。たとえば+1活動では、コンサルタントとしての階層に関わらず、私が年下のメンバーの“部下”になることもあります。そうした立場の変化を伴う経験を通じて、自然と主体性や当事者意識が育まれていきます。そうして得られた小さな成功体験が、結果的に本業のプロジェクト推進にも活きてきます。クライアントは自分より年上の方が多いことが一般的です。20代・30代の社員がプロジェクトを推進していくには、自ら動ききる力=主体性が不可欠なのです。
定量的な変化としては、ありがたいことに年平均成長率57%という数字に現れていると考えています。
また、採用面でも大きなインパクトが出ています。コンサルティングファームが数多く存在する中で、弊社の強みは、やはり「個が成長しやすい環境」であると自信を持って言えます。+1制度のように、成長機会が仕組みとして明文化されている点は、多くの候補者にとって魅力となっており、入社の決め手になっています。実際ありがたいことに、ワンキャリア就活口コミアワードではベンチャー部門で2年連続最高賞を受賞。東大・京大生が選ぶ就活人気企業ランキングでもTOP50入りするなど、「成長環境」や「挑戦機会」に魅力を感じていただく学生が年々増えています。
——では、クライアントへの提供価値に繋がっているエピソードはありますか?
大木氏: はい。分かりやすい結果として、「人材をそのまま欲しい」とクライアントから言っていただくことがあります。上位層だけでなく、時には若手社員に対しても「そのままうちに来てマネージャー/役員をやってくれないか」とお声をいただくこともあります。お断りはしていますが、一方で、これは単なるコンサルタントではなく一人のビジネスパーソンとしてクライアントにとって「欠かせない存在」として認識されている証だと捉えています。
また、独立するメンバーが比較的多いのも特徴です。これは「人材輩出」というビジョンが実現している証の一つだと考えています。彼らが弊社で得た力を元に、新たな挑戦ができるのであれば、それは良いことだと思います。
これらの前提として、我々は、ビジョンである「CxO firm」を目指せるような案件を積極的に獲得しています。例えば、新規事業開発の支援や、立ち上げたばかりでうまくいっていない事業の立て直しといった「0→1」に近い案件です。
大手コンサルティングファームの多くは、新規事業の「構想策定」や「企画」までを支援し、P/L(損益計算書)にコミットする「実行段階」には踏み込まないことがほとんどです。しかし、弊社は「P/Lにコミットする実行段階」までを支援します。たとえば、クライアントの営業担当者と一緒に営業の場に赴き、実際に営業活動を体感しながら、課題を特定し、改善施策の実行まで伴走します。つまり、単なる外部委託という関係性ではなく、クライアントとワンチームで事業推進を行うというスタンスです。これこそが、弊社が掲げる「CxO firm」ビジョンを体現する、顧客価値提供だと考えています。
——これだけ急成長し規模が拡大する中でも、ビジョンや経営の考えがメンバーにしっかり届いている印象を受けました。
大木氏: ありがとうございます。とはいえすべてが自動的に伝わっているわけではありません。重要なのは、社員同士の「線(つながり)」をいかに意図的につくっていくか、そして、会社の思想を語れる“伝道師”としてのリーダー層が、目の前のメンバーにしっかり伝播していくことだと考えています。
みなさんも、飲み会やランチ、何気ない会話の中でふと心に残る言葉を聞いた、という経験があると思います。もちろん、全社集会や制度説明などの“公式な場”も大事ですが、そうした日常の中での地道なコミュニケーションこそが、カルチャーを育て、線を太くしていく鍵だと感じています。
——最後に、今後の目標や展望についてお聞かせください。
大木氏: 「CxO firm」というビジョンを実現していくうえで、最も重要なのはカルチャーを根付かせることです。これは、売上などの定量指標以上に、会社の本質的な価値を左右する要素だと捉えています。
その上での私の原動力は、先ほど申し上げた「当事者意識」と「大義名分」です。その“大義”を言葉にするならば、「従業員に成長と挑戦の機会を提供し続けること」。そのために、案件を増やし、メンバーがプロジェクトを通じて経験値を積める機会を創出していきたいと考えています。
弊社の良いところは、挑戦しやすいカルチャーが組織に根づいていることです。新しいサービスや事業を考えたとき、「ちゃんと考えていれば、やってみたら?」と背中を押してもらえる風土があります。私自身もかつて新規事業に挑戦し、うまくいかなかったこともありますが、その失敗から得た学びは非常に大きかった。だからこそ、私は「挑戦しないよりも、失敗から学ぶ方が何倍も良い」と思っています。今後も、そうした挑戦の機会を、メンバー一人ひとりに届けていきたいと考えています。

※記載されている情報はインタビュー当時のものです。
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